母の特定の症状に気づいたのは、私がまだ両親の面倒を見ていた頃。その時は事情があってアパート暮らしをしていたけど2階の住人が歩く音が本人にとっては”別のもの”に聞こえていたらしい。2階の住人がどうやってその音を出しているのか、というシチュエーションまで話してくれたが、まさかこれが病気による症状だとは思ってなかった。
何に言ってんだか
父は糖尿病だったので朝晩のインスリン注射が欠かせない。
でも、母は見えないので分量が分からないってことで、私が朝晩通ってインスリン注射をしていた。
小学生だった子供たちを送り出してすぐにインスリン注射をしに行き、戻って速攻で主人の朝食を用意する。
いつまで続くか分からない闘いに苦悩することもあったけど、これで父が助かっているならという思いで通った。
父は、足の筋肉も衰えて何かに掴まらないと歩くこともままならない状態。
元々、寡黙な人だったけどさらに口数が少なくなった。
そんな父が私に言ったのは「お母さんがうるさくて」。
眉間にシワを寄せて怪訝な顔をする。
父は片耳が聞こえないので、大きな声で母に「あまりうるさく言わないの!」と私が言う。
でも、何がうるさいんだか気になって抜き打ちで部屋を訪ねてみた。
すると母が「ったく!バタバタうるさいんだよ!!」って天井に向かって怒鳴ってる場面に遭遇。
何怒鳴ってんの?と聞くと、
「2階の人がジャンプしながら壁を拭いてるのよ!こうやってね、椅子の上に乗ってピョンピョン飛んで壁の高いところまで拭いてるのよ!」
いやいや、2階の住人の掃除の仕方なんて分かるわけないでしょーが。。。そもそも、あなたは目が見えないのだよ??
ある時は「2階の子のところに彼女が来てて、その子がまぁーピョンピョンはねるのよ!天井から埃が落ちてくるからたまったもんじゃない!」と言う・・・
2階に住んでるのはひとり暮らしの女性だが・・・??
音の正体は、ただ住人が歩いていただけの足音だったのだが、母には違う音に聞こえていたようだ。
この時は、統合失調症なんて病気知らなかったので”想像力が豊かな人だ”としか思ってなかった。
でもこの奇妙な言動が始まりだったんだよね・・・。
次第に過激化する母
母の思い込みってやつはとても面倒なもので、どうやら自分が攻撃を受けてると思ったらしい。
「2階の子はジャンプするだけでは飽き足らず、私にレーザービームを当てて攻撃してくるのよ!」
私の目が悪いのを知ってて、レーザーを目にチチッて当ててくるの。それが痛くて痛くて・・・」
レーザービーム・・・?(スナイパーかよ)
それも面白いもので、どこに行ってもその子は母の行く先々についてきてレーザーで攻撃すると言うし、県外に行ってもどこに行ってもついてくるんですって。
そんな暇なやついるかよ!
なんて本気にしなかったんですけどね、もっと早く病院に連れて行けば良かったなと今になって後悔してます。